競馬ファンの記憶

少し古い話になりますが、「名手」と呼ばれた岡部幸雄騎手が長く日本の競馬を引っ張ってきました。

そして、その後今度は「天才」と呼ばれた武豊騎手の時代が長く続いてきました。

しかし、ここに来て騎手の勢力図も大きく様変わりしてきています。

安藤勝己騎手が道を拓いた「地方競馬からの移籍騎手」の台頭です。

その代表とも言えるのが、2008年から中央の騎手として活躍する内田博幸ジョッキーです。

もともと南関大井競馬の所属騎手でしたが、JRAの免許を取得してからと言うもの、2年目で武豊の牙城を崩して早くもリーディングジョッキーに輝き、そして翌年にはエイシンフラッシュでダービージョッキーの仲間入りも果たしました。

とにかく卓越した騎乗技術もさることながら、この人のペース判断の素晴らしさはさながら「動物的」とも思われるほどのものがあります。

しかし、彼が中央の騎手として活躍するその伏線は、大井競馬所属時代にさかのぼって確認することができるのです。

中央入り直前の2007年のNHKマイルカップで、内田騎手は18頭中17番人気のピンクカメオに騎乗し、そして見事、彼女に先頭ゴールをプレゼントしたのです。

GIレースでブービー人気の馬が勝つというのはそうそうあることではありませんが、それが中央の騎手ではなく、乗りなれない広いコースで初めて手綱をとる地方の騎手によるパフォーマンスであっただけに、そのインパクトは非常に強いものがあります。

この「大事件」が、中央競馬における「内田騎手誕生」の大きな手掛かりとなっていることは言うまでもありません。

内田騎手というと、NHKマイルカップのピンクカメオからもわかるように、特に府中コースを得意にしているという傾向があります。

競馬ファンであれば、このことを記憶しておいて損はないはずです。